■ 舞台後記 「ワーニャ伯父さん」 ■
<2004年8月1日〜8日>
ワーニャ伯父さん
 作 / アントン・チェーホフ
演出 /   佐藤順一   


       ** ワーニャ **
       佐藤 順一

   
       

** セレブリャコフ **
-退職の大学教授-
中山 義朗




今日も暑い、異常に暑い日だ。ニュースでは、「記録的猛暑が続いている。」と騒いでいる。汗をかきかき、稽古場への階段を昇っていく。扉を開けるとパネルが立ち上がって椅子がならんだワーニャおじさんの家が出来上がっていた。これだけ装置が仕上がると練習も熱がはいる。 「違う!お前、テーブルが見えてないだろ!」演出に言われて利央君が首をかしげている。セリフでは「テーブルを眺めるだけでも幸せ!」とあるが、見るという行為と幸せと感じるという感覚がいっしょに出来ないというのだ。 舞台上で役者が喜怒哀楽を表わせるのは、その場面における行為が、役者個人が今まで培ってきたリアリズムエリアというべき感覚に訴えているかどうかなのである。 それゆえにこれはゆゆしき問題である。 演出家が何を言っても役者が理解できない。いや、理解は出来てもそれが表現できない。お芝居って難しい・・・・・。稽古場がお芝居の迷宮に陥った時、出待ちの役者は、どうすることもできない。 「俺だったらこうする。」と考えるしかない。 だが、待てよ?俺だってテーブル見て幸せ(^^)って感じられるか?疑問だ。・・・俺は、テレーギンじゃない。 投げやりな結論を出し、控え室へと足を運び、コーヒーをカップに注ぐ。 ジョボジョボジョボ。 香りという天使が僕の気持ちを癒し、魔のように黒く、地獄のように苦いブラックコーヒーが僕の心を刺激する。 ここでもう一度芝居について自分なりに整理する。色で言えば、この芝居はこげ茶からオレンジに向かっての色相を有する。音楽的には格調高きクラッシック。肌触りは乾いた風の感触。役者の演技、舞台表現は客に不快なものを与えてはいけない。声の透りはAM放送よりFM放送のそれである。難しいのは100年前のロシアの話なのに、幻想的ではなく叙事的に演じなければならない事である。(たぶん!違ってたらごめんなさい。佐藤さん) 叙事劇において役者は過去を語る現代の肉体である。(幻想劇なら過去を生きる過去の肉体に同化されなければならない。・・・はずだ。)『これぞスタニラフスキーだ!?』 等とコーヒーを飲み干し自分なりに納得して稽古場へもどるとラストシーンの稽古が始まっていた。 ラストが決まれば芝居は8割成功したに等しい(自論)。 さまざまな試練に耐えたチィーホンが、すがる佐藤演出を支え未来に向かって立ち尽くしている。「明日は明日の風が吹く」僕の頭の中には「風とともに去りぬ」のテーマが流れていた。やっぱり俺は間違っているかもしれない。 でも。・・・・・・・・・・もうすぐ祭りが始まる。    7月某日 本番一週間前

 




** エレーナ **
-セレブリャコフの妻-
青木 あつこ




公演が終わる度に、クローゼットの中は舞台衣装でいっぱいになっていきます。今回もネットオークション、フル活用でした。先ず、サモワールをやや高値で落札。それからドレスを2着。残る1着は3年前に、やはりオークションで落札したもの。文明の力には本当に感謝です。サモワールは、またオークションに出す予定。今度はどんな場所でどんな活躍をしてくれるのか、見てみたい気がします。公演を観に来て下さった皆様、美しい眉とヘアーを作ってくださったヒューマンアカデミーの皆様、本当に有難うございました。共演者の皆さん、本番中も咳が止まらずごめんなさい m(_ _)m もっと強い鼻と喉に・・・頑張ります!


** ソーニャ **
-先妻の娘-
荒木 千穂
(劇団響座)

 

 

「ワーニャ伯父さん」でいろいろな方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。いい演出家に、いい役者に、いいスタッフにそしていいお客さんに囲まれて私は幸せ者です。チェーホフはほんとに深いです。言葉の底に流れる気持ち、言葉になるまでの心の動き、すごく繊細に書かれていて、100年前のロシアも今も、人の気持ちってそんなに変わらないんだなって思いました。11回の公演の中に、毎回新しい発見があり、1回1回が新鮮でした。大きな仕事を終えて、なんだかボーとしてしまいます。でも公演のせいにして、散らかりまくった部屋や洗濯物をみると、そうも言ってはいられないようです。



** ヴォイニ-ツカヤ **
-先妻の母-
中野 弘子









** アーストロフ **
-医師-
坪内 白蓮






** マリーナ **
-乳母-
東田 恭子
(劇団どうせい同盟)

 

今回、初めてばぁくうさんの舞台に参加させていただきました。いつも客席に座って、憧れの目で見ていた自分がまさか一緒の舞台に立てるなんて!!そして、改めて役の人生を生きるという難しさ、重要さを痛感しました。演出の佐藤さんを始め、ばぁくうのみなさんには根気強くご指導頂き、本当に感謝しています。最後の最後まで、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。人として、役者として、まだまだ足りないものがたくさんある私。マリーナのようにもっとどっしりとした愛情深い人間になりたい。言葉だけでなく、なるべく行動で示せるようこれからも頑張ります。最後に、ご来場頂きましたお客様、本当にありがとうございました!!








** テレーギン **
-落ちぶれた地主-
竹上 利央


■ 一幕 ■







■ 二幕 ■

      



  
 


■ 三幕 ■

                    


   


■ 四幕 ■

        



Staff


照明       冨山 龍平

音響       溝上 龍一

美術       ryuhei

装置       坪内 晋司

衣装       神田 繭子

制作       山ア 茂美